CONCEPT
ボタンには、小さくて深い宇宙が広がっている
直径1.5cmのボタン描く宇宙。

薩摩ボタンは、鹿児島の伝統工芸品「白薩摩」に薩摩焼の技法を駆使し、金をはじめとする豪華絢爛な配色を施し、ミリ単位で作品を描いていきます。
着物などの和服やオーダーメイドなどの洋服の装いに、さらに上質な気品をまとわせるためのジュエリーにも似た芸術品といえます。
その歴史は、江戸末期に始まり、薩摩藩が倒幕運動などに必要な外資を得るための軍資金になったとも言われています。生活風景や花鳥風月など日本的なものが多く描かれ、ジャポニズム文化の一つとして欧米コレクターに大変貴重なものとされました。その後、その繊細な技法ゆえに作る窯元も減り、作り手は途絶え、幻のボタンと称されるようになりました。

1つのボタンができるまでは何度も工程がかかります。

1 ボタン生地

薩摩焼には黒薩摩・白薩摩とあり、ボタンは白薩摩の白い生地を使用

2 下書き

デザインを決めて、極細水性ペンで下書き(ペン跡は窯内で蒸発します)

3 すじ書き

極細イタチ毛を使いマット金(金または白金と、油を混ぜた液)で輪郭取り

4 色入れ

陶磁器用の絵の具をすり鉢で磨り込み、マット金の輪郭内に色を入れる

 

5 焼成

小ぶりの電気窯で750度4時間強かけて焼成し、自然冷却するまで待つ

6 修正

再び陶磁器用絵の具で色むらを修正し、再度5の工程と同じく焼成冷却

7 金彩色

マット金で、細かい金彩色や盛金を施し、620度で3時間強低温焼成

8 完成

金を磨き、完成


室田志保×薩摩ボタン
室田志保さんは、そんな鹿児島の歴史と伝統が詰まった薩摩ボタンに魅せられた一人。志保さんと薩摩ボタンとの出会いは、薩摩焼窯元で働いていた頃に見た一冊の雑誌だったと言います。その後、イタリアフィレンツェへの短期留学や金沢国内留学などを経て、平成17年、大野地区(大野原)にアトリエ「絵付ヶ舎・薩摩志史(さつましし)」を構え、現代に合った薩摩ボタンとして復活しました。
「お客様の人生に寄り添いながら、永くお使いいただける作品づくり」をモットーに、様々な作品が作られてます。その歴史から作り手が途絶えた薩摩ボタンは、現代に合った薩摩ボタンとして復活いたしました。

プロフィール
  • 1975/鹿児島県生まれ
  • 1995/白薩摩焼窯元絵付け部入社
  • 2004/鹿児島県青年会議所の海外留学派遣事業留学生に選ばれ、「薩摩焼をインテリアに取り込む」のテーマでイタリアフィレンツェに短期留学
  • 2005/白薩摩焼窯元 絵付け部退社 (10 年勤務)
  • 2005/制作用アトリエを、鹿児島県大隅半島(日本のフロリダ)大野原にアトリエを構える
  • 2010/日本ボタン大賞展 審査員特別賞 優秀賞 受賞
  • 2012/鹿児島銀行文化財団賞 受賞
  • 2015/雑誌pen「世界に誇るべき日本の100 人」に選出掲載
  • 2015-2019/アメリカボタン祭典にて実演展示「National Button Convention」
  • 2016/LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2016 鹿児島県代表に選出
  • 2016・2017/Anderson Japanese Garden @Illinois「 Japan festival 」にて実演展示
  • 2017/パリ万博150 周年事業として、パリのギャラリーヴィヴィエンヌにて実演展示